J2京都サンガFCは、キャンプ地鹿児島県国分運動公園で2月14日と15日に練習試合を行った。14日はJFLの鹿児島ユナイテッドと、15日は韓国KリーグのFCソウルとそれぞれ対戦している。2014年シーズンから京都は、バドゥ新監督が指揮を執る。新指揮官が目指す『攻撃サッカー』には、危険が伴っていた。
バドゥ監督は就任会見で「オフェンシブなサッカーをやっていきたい」と話したように、鹿児島ユナイテッド戦では、序盤から積極的な攻撃を見せた。相手がボールをキープしたところに素早くプレスをかけ、自チームのボールになると一気に攻撃を仕掛けていく。両サイドのポジションは高く、それに連なりサイドバックも積極的な上がりを見せる。この試合では宮吉が2ゴールを決めて、勝利を収めたもののディフェンス面に課題が出る形となった。
昨年まで京都はパスサッカー展開してきた。ディフェンスラインでボールを奪うと細かいパスを繋ぎ、自チームの攻撃につなげていた。しかし今年の京都は少し違う。ディフェンスラインでボールを奪うとセンターバックであっても、積極的な上がりを見せ、両サイドのスペースを有効に使うサッカーを見せる。しかしこの場面でサイドバックが中を絞る動きを見せるのだが、ボールを失った際のリスクが高い。鹿児島ユナイテッドの攻撃陣は、京都のディフェンスの間のスペースをうまく利用し、何度もゴールを脅かしていた。
攻撃の部分での連携や戦術理解は、進んでいるように見えるが、守備に関してはまだこれからというように思えた。また15日の練習試合では1試合目のメンバーから外れたFCソウルの選手たちが、京都のウィークポイントを指摘していた。
FCソウルとの試合で京都は、MF中山博貴とMF伊藤優汰が中心となってボールを回した。宮吉の飛び出しにうまくボール合わせようとするが、なかなか良い形でボールが入らなかった。これを見たFCソウルの選手たちは「13番(宮吉拓実)は何度もチャレンジしているが、あの形は簡単すぎる。15番(中山博貴)は何度もスペースを探しているのが見えるが、ボールを持っている時間が長いから、対応しやすい」と話していた。
京都の攻撃サッカーのウィークポイントは出たが、良いところはないのか?FCソウルの選手たちに聞くと「25番(伊藤優汰)のドリブルはグレート、8番(MF横谷繁)のフィジカルも強い」と話してくれた。
5年振りのJ1昇格を目指す京都にとってこの時期に、修正点が出たのは非常に大きい。3月2日の開幕までにまだ十分な時間はある。昨年まで続けてきたパスサッカーに加え、バドゥ監督が目指す攻撃サッカーを加えることができた時、J1昇格の夢が近づく。
最後に2月14日と15日の練習試合で、京都には練習生が参加していた。練習生は京都のサッカーに良いアクセントを加えていた。高い身長を活かしポストプレーなどでチームに大きく貢献していた。練習生が京都に新加入することになれば大きな力になりそうだ。
(文・澤田ゆうき)