ブラジルの強豪クラブコリンチャンスやアヴァイなどの下部組織での指導経験を持つ平安山良太氏。そんな平安山氏にブラジルW杯終了後のサッカーに対するブラジル人たちの熱や環境について話を聞いた。
-2014年に開催されたブラジルW杯でブラジルは惨敗を喫しましたが、国内での雰囲気は変わりましたか?
平安山:自信がなくなった感じは受けました、 明らかに雰囲気は落ちましたね。自国のチームが失点することを喜んだり、皮肉が混じった応援をするサポーターが明らかに増えましたね。
-実際にサポーターが減るということはあった?
平安山:W杯で惨敗することよりも経済的にブラジルは今かなり苦しいです。一般的な平均月収が8~9万円ぐらいで、サッカーの観戦チケットは日本と変わらないぐらいまで高騰してしまっています。コリンチャンスは元々、市民のクラブとして愛されていたのですが、現在良い席で1万円ぐらいします。スタジアムへ足を運ぶのが難しくなったサポーターも増え、「俺たちのクラブはどこに行った?」とサポーターが訴えていました。
-他にW杯後に何か変わったことはありますか?
平安山: サッカーとは少し関係ないかもしれませんが、日本でも何度か報道されていた、日本戦の後サポーターがゴミを持ち帰ったことがありましたよね?あれがブラジル国内でもけっこう報道されていて、コリンチャンスの選手たちからよく「良太、これあげるよ」とゴミを渡されました。(笑)
そういうことじゃないと周りのブラジル人たちによく説明していましたね。
-やっぱりスポーツではサッカーが人気ナンバー1?
平安山:スポーツをするとなった時、9割がサッカーを選びますね。あとはバレーボールやバスケットボールが人気があります。最近では色々なスポーツのレベルが上がっていますが 、サッカーがあってこそだと思います。ブラジルのサッカークラブはFC(フットボールクラブ)ではなく、AC(Athletic Club)として活動しているクラブも少なくなく、クラブが保有する施設の中に体育館やテニスコートなど、色々な施設があってそこで他の競技のトップを目指す人たちがトレーニングを積んでいます。
-平安山さんから見て、まだまだ日本とブラジルはまだまだ交流が少ない?
平安山: もっと日本の企業がブラジルに進出してほしいと思います。ブラジルの方々もそれを望んでいますが、きっかけがない。ブラジルの人たちは人付き合いが好きなので、きっかけさえあれば話が進むのは早いと思います。「Jリーグのクラブを知っている?」と聞いたら「鹿島アントラーズ、柏レイソル、ガンバ大阪、セレッソ大阪」は知られているが、それ以外の認知度はまだまだ低いです。
-ブラジルと日本をつなぐ架け橋になるために今平安山さんは努力されておられているのですね?
平安山氏:はい。自分が架け橋になって互いの文化をもっと知っていければと思います。 僕はサッカーで日本とブラジルをつなぎたいと思います。故郷の沖縄県でサッカー大会を開催して、ブラジルのクラブに出場して欲しいと考えています。
「沖縄にもっとサッカーを普及させたい」ブラジルのクラブで経験を積む平安山良太氏
〜平安山良太プロフィール〜
小学生よりサッカーを始めるが、ケガにより早期挫折。
ブラジル一部リーグのアトレチコ・パラナエンセ→
(取材・文:澤田悠樹)