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【特集】世界で戦える選手を育てる 食生活から選手育成

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近藤岳登選手と管理栄養士の高野稚香子さん
(写真:右から近藤岳登選手と管理栄養士の高野稚香子さん)

2010年に南アフリカで行なわれたW杯でベスト16に進出し、ロンドン五輪でも44年振りにベスト4に進出するなど、近年世界と戦えるようになってきた日本サッカー。だが昨年のブラジルW杯では惨敗に終わるなど、まだまだ世界との距離が遠いという現実もある。世界と肩を並べて戦うためには練習環境や、メンタル面での違いが大きいと言われているが、それ以外の部分でもまだまだ劣っている部分が多い。今回はその劣っていると考えられるモノの一つである、食事面について追求した。

海外の強豪クラブではジュニア世代から寮生活に入り、食生活から管理されることも少なくない。精密な身体検査を定期的に行い、「この選手はタンパク質が必要」、「この選手は前回に比べて体脂肪が少し増えている」などといった細かなデータを選手毎に算出しているクラブもある。日本は恵まれた環境ということもあり、食べたいものがすぐに手に入る。さらにファストフード店など、外食産業も盛んで家で食事をすることよりも、外で食事する方が多いという家庭もある。では外食が多い生活の中で、トップアスリートを目指す子どもたちに必要な栄養素を摂取することは難しいのか。

とりでんのフランチャイズ本部、牛角のエリアフランチャイズ本部を展開する株式会社プライム・リンクの管理栄養士を務める高野稚香子さんに話を聞いた。

初めて高野さんと話をする中で、「子どものサッカーの大会や試合が終わった後に来店してくださる御家庭などが最近では多くなってきました。打ち上げとしてお店を利用していただくこともあります。親御さんがお酒を楽しみ、子どもたちはお食事をするという場面も多く見受けられます」と最近の利用客の状況が把握できた。ジュニアユースやユース世代になると寮生活で食事を管理してもらえることもあるが、それ以外の一般家庭ではやはり、このようなケースが多いこともわかった。

 では試合後の子どもたちの体に必要な栄養素を含むメニューはあるのか。「食べ合わせ次第で可能だと思います。試合で消耗した糖質(炭水化物)・タンパク質・ビタミン・カルシウムなどを補うことは可能です。ただ現状でアスリートのための食事は用意されていません」という話が出た。やはり現在の外食産業が盛んな日本で、食生活の面からアスリートを支えることは難しいのかと考えていた。

9月28日にJリーグの町田ゼルビアが、選手やアカデミーに所属する子どもたちに健康や発育に配慮した食事を提供するとともに、地域の人たちに健康に配慮した食を提供することを目的に『ゼルビア×キッチン』をスタートさせたが、これは大きな一歩を踏み出したと私は感じた。プロの選手たちを夢見て、子どもたちもこの食堂で多くを学ぶと考えていた。

これをヒントに今回『とりでん』でも多くの案が出されて、その中からJFLのFC大阪と共同でアスリートのためのご飯が開発されることになった。打ち上げやお酒の場に、子どもが連れそうことも多い現在の日本。その子どもたちに少しでも貢献できればと考えられている。さらに子どもたちのサッカー教室を行うとともに、親御さんへの『アスリート育成食事メニュー』の講座を開く予定とのこと。

FC大阪の近藤岳登選手も『アスリート育成食事メニュー』講座の打ち合わせに参加し、本当に知りたいのは何かを話し合った。近藤選手は「家に帰ったら夕食までの間にお腹は減るし、子どもはお菓子を絶対に食べる。だからこのお菓子だったらこっちのお菓子などピンポイントで良い方を教えたほうがいい」、「好きな物を食べることを我慢するとストレスに繋がるから、最初からダメと決めつけるのではなく、打開策などがあればよりいいのでは?」などとアドバイスを送った。

この打ち合わせなどから多くのヒントを得た『とりでん』は、予定している『アスリート育成食事メニュー』講座で、具体的なメニューを保護者に伝えることになったようだ。例えばコンビニエンスストアのお弁当を食べる場合は、〇〇と〇〇など具体的に良い組み合わせなどを伝える。誰でもすぐに実践できることを伝えていく。

 栄養士やサッカーチームコーチなどが語る、選手育成のための食事はこれまで、「これは食べてもいいがこれはダメ」といった教えが多かったが、『とりでん』が主催する今回の講座では詳しい内容が話される。実際にコンビニエンスストアや、ファストフード店の食べ物でこの組み合わせが良いと薦められると、スポーツをする子どもを持つ親からすれば、ありがたい話。

実際にこのような取り組みが全国で行われることになると、子どもたちの食の改善に大きく繋がると私は思う。まずは12月26日に行なわれる『FC大阪×とりでん』のサッカー教室&『アスリート育成食事メニュー』講座がどのようなものになるか様子を見たい。

 

(取材・文:澤田悠樹)

 

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